人工透析

人工透析とは

腎臓の機能が著しく低下すると、尿によって体の外に排出していた老廃物が体の中に溜まってしまい尿毒症症状(下痢や下血、心不全、呼吸困難、皮膚の褐変色、頭痛、視力低下などさまざまな全身症状)を起こします。また、尿量も減ってしまうことで飲食した水分が体の中に溜まってしまい、全身の浮腫みや呼吸困難、血圧の上昇などが起こります。

人工透析とは、このような症状を改善するために機能不全を起こした腎臓にかわって体内の老廃物や過剰な水分を取り除く手法であり、「低下してしまった腎臓の機能を人工的に代理する治療」のことです。

人工透析は、腎臓を回復する治療ではなく、あくまでも腎臓の代替治療ですので、基本的には終生継続した治療が必要になります。
人工透析が必要となった方は、ショックを受け、不安に駆られることもありますが、人工透析は、失われた腎機能を代替して尿毒症の症状を無くし、これから先の人生を充実させるための治療です。

当院では、一般的な血液透析治療の他、血液透析濾過(オンラインHDF)や長時間透析などの治療法もお受けいただけます。お気軽にご相談ください。
また、帰省・旅行などの際の臨時透析もお引き受けいたします。お気軽にご相談ください。

人工透析とは

人工透析による治療について

人工透析では、腎臓の代わりとして人工腎臓(ダイアライザー)を用いて、血液の中から老廃物と水分を除去します。
体から血液を取り出し、ダイアライザーを通過させることで、血液が綺麗になって体に戻ります。体から血液を取り出して戻すため、2か所に針を刺して治療を行っていきます。献血を行う時が一番近いイメージとなります。

治療時間と治療頻度ですが、患者様の体格にあわせて1回あたり4~6時間の治療(体格の良い方は時間が長くなります)となり、それを週3回行っていきます。人工透析では、悪くなった腎臓の機能を回復させることはないので、この治療を寿命が尽きるまで継続していきます。患者様からのお話で、「針を刺す痛みが嫌だ、怖い、なにかないですか。」というお話をよくいただきます。皮膚の表面麻酔用のテープやクリームの準備があります。ただ、あくまでも痛みを軽減するだけで、痛みがなくなるわけではありませんのでご理解いただいた上でご使用いただきます。

人工透析による治療について 人工透析による治療について 人工透析による治療について 人工透析による治療について

人工透析開始の流れ

人工透析のために来院いただいた患者様は、まずは受付を行い、軽装にお着替えいただきます。お着替えする理由は、人工透析では体に溜まっている水分量を体重で換算するため、体重計で計測した時に服の重さが影響を与えてしまうためとなります。お着替えが難しい場合には、服装を一定にしていただく必要があります。
お着替えが完了したら、次に体重計で体重を測ります。そして、ご自身の治療ベッドに移動いただき、横になっていただきます。

その後、当院スタッフがご様子を伺ったり、血圧測定を行ってから、針を刺して治療を開始していきます。
治療中は、患者様ごとにそれぞれの方法でお過ごしいただきます。スタッフは随時、常駐しておりますので何か気になったことがあればお申しつけ下さい。
治療終了後は、血液をすべて体に戻し、針を抜いて約10分程度止血を行います。止血ができたら消毒を行い、ベッドから起きて再度、体重を測定し治療終了となり、その後、再度お着替えを済ませご帰宅という流れとなります。

人工透析開始の流れ 人工透析開始の流れ

血液透析治療について

血液透析

血液透析(HemoDialysis:HD)は、ダイアライザーと呼ばれる透析器に血液を通して拡散と呼ばれる原理で血液内の老廃物や余分な水分を取り除き、再度、血液を体に戻す治療のことを言います。
治療の際は体の外に血液を取り出す必要があり、一般的には、片側の腕の静脈血管に針を2本(血液を取り出す方:脱血、血液を返す方:返血)刺して、機械的なポンプで循環させます。血液透析は最低週3回行う必要があり、1回あたり4時間~5時間の治療となります。毎日24時間働いている腎臓の代わりの治療ですので、それなりの治療時間がかかります。

血液透析濾過(オンラインHDF)

血液透析(HD)は、拡散を原理とする治療ですが、血液透析濾過(Hemo Diafiltration:HDF)は、HDの原理に濾過の原理を追加した治療法になります。治療時間や治療方法はHDと同じですが、様々な種類の老廃物を効率よく体から除去できる点で、HDよりも優れています。また、HDよりもHDFの方が生命予後が良いという論文も多数執筆されています。HDFを行うには専用の機器や環境整備が必要となります。現在では、多くの施設で治療できる準備が整っており、血液透析人口の約半分の患者さんがHDF治療を行っています。
当院では、すべての患者さんがHDFにて人工透析を行っております。

間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)

間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)は、基本的にHDに近い治療となります。HDと異なる点としては、治療中に何度か急速に補液を行うことで、血圧低下の防止・末梢循環の改善・透析効率の上昇などの効果が得られます。HDFと同様にこの治療を行う場合にも専用の装置が必要となります。当院の装置は、I-HDFにも対応しております。ご希望の患者様には選択いただけるようになっております。

長時間透析

長時間透析とは、1回あたり6時間以上の透析治療のことをいいます。一般的に透析時間(治療時間)は、1回あたり4時間~5時間の治療となっていますが、それ以上に治療を行う事が可能です。人工透析治療を長時間行うことで、治療による疲労感の軽減や、内服薬の減量、食事制限の緩和、血圧低下や透析合併症の予防など、様々なメリットが生まれます。当院としては、体のためにはなるべく長く治療を行った方がいいと考えております。長時間透析のご希望にも対応してまいります。

夜間透析

夜間透析とは、午後5時以降から透析治療を開始することをいいます。一般的には日勤でお仕事をされている患者様が行うことが多いです。もちろん、お仕事がなくても日中の時間を様々なこと(家事や外出など)に有効利用できるので、当院では患者様の生活スタイルにあわせて治療の開始時間を相談いただけます。午前中に血液透析を行うとその疲労感から「帰ってから夕方(夜)まで寝ちゃった。」などの声をいただくことがあります。そうすると、活動時間が減ってしまうだけでなく、治療中や家に帰ってからの睡眠で夜が眠れなくなってしまい、生活リズムの乱れにもつながります。そういった点では夜間透析にもいいメリットがあります。

旅行透析(臨時透析)

日本国内では、健康保険によりどこの透析施設でも保険診療が可能であり、旅行先や出張先でも1回から人工透析治療が可能です。当院でもそういった患者様方の受け入れを行っております。また海外から日本への渡航患者様も受け入れを行っております。事前にお電話にてご相談下さい。

合併症について

透析治療中の合併症

低血圧

透析治療の目的でもある水分除去が大きく関わっています。必要以上に水分を抜きすぎてしまうと脱水状態となり、血液量が減って血圧低下を起こします。気分不快・吐気・めまい・冷や汗・意識障害などの様々な症状を引き起こし、辛い透析治療となってしまいます。適切なDWの設定や最大除水量の設定、透析条件などをしっかりと評価し、管理することで多くの場合予防することが出来ます。

下肢つり(筋痙攣・こむら返り)

透析治療では水分の除去やナトリウム・カルシウムなどの電解質バランスの変動が起こり、血液循環が悪くなりつり症状が引き起こされるとされています。また、抹消動脈疾患(PAD)を合併している場合には、血管が細くなったり詰まったりしてしまい、普段から下肢の血流が悪く、透析治療にて下肢つりが起こりやすくなります。主に、不適切なDWの設定や過大な除水設定が原因のことが多く、DWの設定を見直したり、日常の塩分・水分の摂取を控えるようにすると治療中の下肢つりを予防することが可能となります。もし、下肢つりが起きてしまった場合は、患部のマッサージやストレッチ、温熱療法、薬の服薬などが効果的な対処法となります。

透析患者の合併症

  • 高血圧
  • 貧血
  • 感染症
  • 心血管系病変
  • 動脈硬化
  • 二次性副甲状腺機能亢進症
  • 透析アミロイド症
  • 高カリウム、高リン血症
  • 掻痒症(かゆみ)

血液透析の導入準備(シャント)

血液透析を行うには、体の皮静脈に針を刺して1分間に200~300mL程度の血液を取り出す必要があります。皮静脈には流れている血流は少ないため、血液透析を始めるには動脈と皮静脈を外科手術で縫い合わせる手術(シャント手術)が必要となります。一般的には、利き腕と反対側の前腕部に手術を行います。これにより動脈の血液が皮静脈に流れ込み、多くの血液を確保することが可能となります。この手術を事前に行っておくことで、必要時にすぐに血液透析を始めることができます。

血液透析の治療評価指標

血液透析では、体の老廃物の除去(透析)と尿量の代わりとなる水分除去(除水)を行います。そこで、老廃物をどれだけ除去できているかの評価(透析効率の評価)と体の適切な水分バランスの評価(ドライウエイト:DWの評価)が重要となります。

透析効率の指標

透析効率の指標としては、Kt/V(ケーティーオーバーブイ)と呼ばれる指標があります。Kt/Vは、透析治療の前と後の血液中の尿素(UA)の変化から計算されており、治療前と後に採血を行い調べます。これは、どれだけ血液を綺麗にしているかの指標で、おおよそ1.0~2.0ぐらいの数値となります。数値が大きいほど血液を綺麗にしている量が多いことを示します。死亡リスクの観点から日本の透析学会のガイドラインでは1.4以上が推奨されており、当院でも全患者さん1.4以上となるように治療条件をご相談させていただいております。患者様によって体格や食事環境など異なることから、1人1人に合わせた条件を提案致します。

ドライウエイト:DWの評価指標

DWは透析治療後の体重となります(溜まった水分が除去され状態の体)。どんな方でも、日常を過ごしていれば太ったり痩せたりと体重が変化します。それと同様にこのDWも変えていかなくてはいけません。適切にDWを調整してあげないと、体に水分が溜まって高血圧や心不全の原因となることがあります。また、逆に体から水分を抜きすぎて低血圧や気分不快、倦怠感などが起きてしまうことがあります。このDWを適正に維持するためには評価が必要です。一般的には、血圧や体の浮腫みなどの臨床症状や血液検査・レントゲン撮影などで評価を行います。当院では、これらの評価も行いながら体組成計による体の水分量の測定を追加しています。これによりDWをより適正にすることができ、透析治療による苦痛や不快感の低減に繋がっています。この体組成計を用いて評価を行っている施設はまだまだ少ないのが現状ですが、多くの施設で使用されることを期待しています。

Summary医院概要

院 長
若山 慈恵(わかやま よしえ/
日本内科学会総合内科専門医、
日本腎臓学会認定腎臓専門医、
日本透析医学会認定透析専門医)
診療内容
人工透析、腎臓内科、内科
住 所
〒164-0014
東京都中野区南台3-6-17
クリスタルコート88 イマス中野南台3F
TEL

03-6304-8511 ※電話予約制(当日可)

最寄駅
東京メトロ 丸ノ内線「中野富士見町」
徒歩10分
京王バス「南台交差点」下車
・中野駅1番乗り場より約12分
・新宿駅17番乗り場より約15分
・渋谷駅47番乗り場より約34分
・笹塚駅0番乗り場より約7分
※通院困難な患者さんには
無料送迎サービスを行います。

透析外来

診療時間
※2

※2

※2
9:00~22:00
9:00~16:00

※祝日も通常の曜日通り治療いたします
※開始時刻は希望時間をご相談ください
※2 お電話でのお問い合わせは15時までにお願いします

腎臓・一般内科外来

診療時間 日祝
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15:00~18:00

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